機材の保守、調整をしっかり行い、末永くベストコンディションで使いましょう!^^
 お約束ですが、分解、改造等は自己責任でお願いします。


■ビクセン 2軸モータードライブコントローラDD-1(DD-2)の修理、故障対策

 (2008.7.23公開)


GP、GPD(GP2、GPD2)赤道儀で通常の2軸モータードライブで運用する際に用いるコントローラDD-1(現行品はDD-2です)。
 ステッピングモーターゆえに眼視ガイドを行う人、オートガイダー対応改造する方、等々、今もって人気のある小道具です。
 ですがこのDD-1、故障が結構多いのです。 特に32倍速で常用すると挙動不審にるという声がよく聞かれます。

 症状としては、32倍速時にモーターがあらぬ方向に動いてしまう。動きがビクつく、全く動かない時がある等様々。
 主な原因は回路に使われているステッピングモーター駆動用のICの定格を超えてしまう為だと思われます。
 故障箇所を予想しながら治療的診断で治していきます。

 なお、この記事は比較的初期の頃に生産されたDD-1を例にしています。生産時期により同じDD-1でも半導体の
 レイアウトが異なるものがあるようですから、それぞれに合わせて読替えが必要かもしれません。
 DD-2とは回路がかなり異なりますが、同じ考え方で対応できるかと思います。

 もちろんこのような補修はメーカーでするのが大前提です。 
 壊してもいい、、くらいの気持ちで補修を楽しめる方のみどうぞ。 

 DIYで機材を大切になさる方へ少しでもお役に立てたら管理人は嬉しく思います。

 管理人は電子工作分野にそれほど詳しいとも思えませんのでおかしな事を言っている可能性も
 大いに御座います。 その辺りご勘案くださいませ。



 疑うべき順番


  1.挙動不審になる軸側のコードを交換。 
     クネクネとうごかして挙動が変わるようならコードを交換。
     そうでなくても原因をツブすために交換してもいいでしょう。 コネクターは通常のDINコネクターですから
     電気街で購入可能です。 下の2本のピン間隔が広いものと狭いものがあるので確認して購入して下さい。
      DD-2で用いるMT-1モーターは通常のモーターではなく、ステッピングモーターですから、
      コードの特定の線が断線していても挙動不審になります。


  2.TA8415P、TD62103Pを交換してみる。 
     動きが複雑に挙動不審な場合、真っ先に疑うのはこの2つ。
          いずれのICも東芝製で製造中止になっていますが、まだ電気街で
     普通に入手できます。 まれにものすごい金額でボる業者があるので注意して下さい。
     300円〜700円程度。 入手困難品というほどではありません。 
     有名どころでは、誠大などからWebで発注される方もいらっしゃるかと思いますが
     10倍近い金額でしたからご注意ください。 適性価格で買いたいものです。 別の実店舗で300円で買いました。
     なんでもWebで買うのは考えものです。

  3.ダイオードを交換してみる。
     ステッピングモーターからの逆起電力で誤動作する事が考えられます。こういう場合には逆に電流が
     流れないようにダイオードで保護します。 基盤上に各軸毎に2個ついています。
     通常の整流用ダイオードで大丈夫です。 ここまでで治る場合もあります。
     ボタンを押して逆方向に動いたりする症状が混じる場合に疑わしく思えます。

  4.電解コンデンサを交換してみる。
     動きがビクつく、ボタンをおしてガクガクするような場合で、しばらく押していると収まるような場合には
     ノイズ除去を狙ったと思われる電解コンデンサが疑わしいです。 
     少し容量が大きいものに交換してみるのもいいかもしれません。


 作業の実際


   では実際に故障したDD-1を分解し、修理箇所を具体的に見ていきましょう。 写真は管理人が使い倒していた愛用品です。
   まず、一般的なDD-1の基盤レイアウトを見てみましょう。 図示の位置の半導体を交換していきます。

  


  故障率が高そうで、かつ最も重要な部品の2つのICを交換します。
  なお、このICがナニモノかお知りになりたい場合には、インターネットでデータシートを入手してください。
  ピン配列、内部のダイヤグラム、信号のタイムチャート等の情報が得られ、勉強になりますよ。
  Googleで「TA8415P データシート」等で検索してみてください。PDFファイルが手に入るはずです。
  回路解析の第一歩はデータシートです。

  
  はんだ吸取線を使って、ICの裏側からはんだを除去し、古いICを取除きます。
  はんだ吸取り器などの豪華な機材があれば有り難いものです。
  古いICはもう使いませんからうまくはがせなかったら足をニッパーで切断して
  残った足をラジオペンチでひっぱりながらはんだを溶かすとICを外しやすいかも。


  
  再度破損した場合にワンタッチで交換できるように、新しいICは直接はんだ付せず、
  ICソケットをはんだ付けして、そこに差し込むようにしました。 18ピンです。
  放熱を考えるならばフレームタイプ(穴が空いているやつ)がよさそうです。

  

  新しいICを差込ます。 2つとも同様に交換します。
  ここで一度動作確認して、正常に動作するようになっていれば完了です。
  幾分回復したがまだ挙動がおかしい、、という場合には他も破損している可能性が
  ありますので次に進みます。 上のほうの写真にある、逆起電力防護用と思われる
  ダイオードと、電解コンデンサ(22μF)を交換します。 今回は手持ちの47μFに交換し
  少々容量を上げてみました。

  
  ヒートシンクは、サンハヤト等が販売している、CPU等のヒートシンク取り付けに
  使う熱伝導テープで貼りなおします。 下の写真ではRA側の配線も断線
  していましたので併せて交換しました。 ハードに使いすぎですね(苦笑)

  
  結局全項目アウトでした。
  修理は部品代1500〜2000円といったところでしょうか。
  以前より動きが滑らかになったので、壊れ方はいきなりというより
  ジワリジワリと破損していくのかもしれません。

  皆様気になっているにちがいない、、、サービス写真です。
  DD-1とDD-2の違い。 改造依頼品があったので並べてみました。
  DD-2はかなり簡略化されているのが分かります。
  ヒートシンクの下のICは何でしょう、、、 DD-1で使われている東芝のICは
  生産中止なので、代替品になっているかもしれませんね。
  情報お持ちの方、是非教えてください。 

  


  このようにして修理完了しました。 DD-1でのお話でしたが、DD-2でもダイオードや電解コンデンサは
  同じように各軸にありますし、ヒートシンクの下のICも同じように型番をしらべて交換することで修理への
  糸口になると思います。 買い換えて捨ててしまうくらいなら、勉強のつもりで修理にトライされては
  いかがでしょうか。  うまく直ったらますます愛着がわきますよ^^

  


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