機材の保守、調整をしっかり行い、末永くベストコンディションで使いましょう!^^
お約束ですが、分解、改造等は自己責任でお願いします。
■ビクセン GP(GP2)/GPD(GPD2)赤道儀とDD-1をWebカメラとノートPCでオートガイドする
(2008.1.2公開)
最近は、安価にオートガイダーを実現できるWebカメラとノートパソコンを使う方が増えてきました。
これから直焦撮影しようとお考えの方も、予算が逼迫しているならば(あるいは好みで)この方法を真っ先に考えるのではないでしょうか。
ですが、ビクセンですとStarBookやSkySensor、タカハシならばTemmaシリーズのような自動導入のついた知能化されたコントローラが無い
赤道儀ではこの方法はできないと思っておられる方が意外にも多いので、当HPでもご紹介することにしました。
ご紹介するからには自ら検証して使えることを確認しなければなりません。
(当方、以前の職業が朝から朝まで(笑)パソコン漬けで、せめて星の時くらいはパソコンを見ず癒されたかったのと、
面倒が嫌いなのでノートパソコンでのガイドはやめて、超簡単でなかなか高精度のビクセンAGA-1を愛用しております。)
GP等に用いる2軸モーター用コントローラDD-1がオートガイダー対応改造済なら、
わざわざStarBookTypeSを購入したり、SXやSXDに買い換えをしなくてもWebカメラとノートPCでオートガイドが実現可能です。
なお、この方法を実現する為にハンダ付けが必要です。 ハンダ付けができない人はこの際
挑戦してみるのはいかがでしょうか。 昔ラジオのキットを組み立てたことがある人なら大丈夫です。
これができれば、わざわざ高額なガイドウォークを購入する必要はありません。(趣味人さんごめんなさいっ^^;)
面倒が嫌だという方がお金で解決するならガイドウォークを買ってしまうのもいいかもしれませんが、、、、
これより前から存在するガイド基盤の作者さんが地道に頒布してくれていることを鑑みるとこちらを応援したい気分になります。
<用意するもの>
1 オートガイダー対応改造済の2軸モーターコントローラDD-1 (DD-2)
2 Webカメラ
3 ノートパソコン
4 オートガイド基盤 (これが今回の主役。 後述します)
5 6芯モジュラーケーブル (後述)
6 オートガイドソフト (無償ダウンロード 例ではGuideMaster 他にもいろいろありますのでお好みで)
7 ASCOMドライバ (無償ダウンロード 後述)
8 .NET FrameWork Version2.0 ( ドットネットフレームワーク MicroSoftよりダウンロード
GuideMaster動作に必要。)
9 DirectX9 (MicroSoftよりダウンロード GuideMaster動作に必要)
<入手方法と、それぞれの役割>
1は当HPで紹介してあります改造方法で準備するか、改造済のコントローラを中古等で入手してください。
2はなるべく高感度のものを。フィリップスのToUcamPROUがお薦め。 無ければCMOSではなくCCDのWebカメラが良いですが、
アイピースの代わりに差し込む為、31.7スリーブに変換するアダプターが必要です。 このアダプターが用意されているのは
ToUcamPROUか古いToUcamくらいで、オークションで入手するか、2007年12月現在、スターベースに若干の在庫があるようです。
カメラとセットで今のうちに入手しておいてください。 他のWebカメラの場合にはカメラを分解して自分で接眼部に接続するように
改造しなければなりません。 どうしたら良いのかわからない場合には、最初から31.7スリーブになっている
セレストロンのNexImageCCDカメラが無難だと思います。 ただ惑星の撮影も楽しみたい場合にはToUcamPROUが実績豊富ですので
オートガイド以外でも使う方はそのあたりも考慮に入れると良いでしょう。
3はすでにお持ちのノートで。 これから入手するならバッテリーができるだけ長持ちし、OSはMe〜XPあたりまで動作の実績を
あちこちで見ることができますからその辺りで。 Windows Vistaは要注意です。天文用では動作に問題があるソフト多数ですから中古でいいかな。
さて、今回のミソは
4の「オートガイド基盤」です。 「ようこそくわなの星空へ」のHPにて頒布されていますので問い合わせて分けてもらってください。
http://kuwana.ddo.jp/DSI/DSIagpro1.htm
表に頒布ページが出ていない場合はメールにて問い合わせますと対応してくれます。 価格は7500円くらいだったと思います。
5の6芯モジュラーケーブルは普通の電話線のような外観ですが別物です。 電話線はせいぜい4芯で、一部のビジネスフォンで6芯があるようですが
普通に電気街を探してもちょっと入手しにくい特殊なケーブルかもしれません。 このケーブルも上の基盤購入時に追加注文すれば頒布してもらえます。
1500円くらいだと記憶しています。
6はGuideMasterの場合こちらからダウンロードしてください。(英語です。リンク切れの場合はGoogle等で検索して探してください。)
GuideMasterはビクセンのAGA-1と似たコンセプトを感じます。 操作が大変簡単です。
7のASCOMドライバは、はオートガイドするパソコンから、赤道儀(コントローラ)が自動導入付きのコントローラとして扱えるようにするソフトです。
こちらのHPからascom41.exeASCOM Platform(Ver5になりました)をダウンロードしてください。
DD-1やDD-2は自動導入等付いていませんから、このソフト(ドライバ)を使ってパソコンをダマすような感じです。
自動導入の先駆的存在である、Meade社のLX200シリーズと互換性のあるコマンドを受け付けるコントローラとしてパソコンからは
認識されるようにします。 LX200シリーズを始めとする自動導入付きのコントローラは、シリアル通信やLANケーブルでパソコンと
制御コマンドをやりとりし(通信し)、コントローラは制御コマンドを解析してモーターをどちらの方向に何パルス動かすか、というような
仕組みになっています。 パソコンが送ったコマンドは4で紹介した「オートガイド基盤」に載っているPICマイコンが解析し、
方向ボタンを必要なパルス分(時間分)代わりに押してくれるといった仕組みです。
8の.NET FrameWork Version2.0はMicroSoftのダウンロードセンターよりダウンロードします。 これはGuideMasterが.NET FrameWorkを用いて記述された
プログラムなので必要となります。 大雑把にはGuideMasterはこの.NET
FrameWorkの上で動くソフトだと考えてもらって良いと思います。
JAVAでいうとJavaVM(仮想マシン。 種類の異なるOS、ハードウェアで同じソフトが動くよう、ソフトからはただ一つの仮想マシンの上で動作するようにという
考えで作られたエミュレータ(擬似マシン)です。 .NET
FrameWorkはその逆のアプローチで.MicroSoft社の言語で作成すれば様々なマシンででも動くという
どちらかというと設計者とMicroSoft社に都合のよい仮想マシンのようなものです。 ちょっと御幣がありますけど)
9のDirectX9もMicroSoftのダウンロードセンターよりダウンロードします。 これは、GuideMasterがWebカメラを制御したり動画を用いるのに使う部品です。
今時の多くのソフトは決まりきった部分はプログラムをいちいち書くのではなく、OSメーカーが提供するこうした部品を介して接続機器や画面、
動画をコントロールします。 フライトシミュレータ等のパソコンゲーム等でこれを入れるように言われることがありますよね。
オートガイド基盤へ直接配線すると取り扱いがうっとうしいので、メスコネクターを設けました。
上の基盤に取り付けたモジュラーコネクター、どこから入手したんだという疑問が
あるかもしれません。
これは、パソコンショップや、電子部品のお店で200円くらいで売っている
電話線延長コネクターを2つに割ったものです。
探すと結構6芯全部が中でコードでつながっているものがあります
(電話では普通4本までしか 使いませんが、ビジネスフォンなどだと全部使うものがあります)ので、それを流用しちゃうのです。
グッと力をいれてやると真ん中ははめ込みか、軽い接着なので簡単に2つに分離でき、両方の
コネクターはリード線で結ばれていますから、
中ほどで切断して、短すぎれば適当なコードを
延長して基盤のRA(+)、RA(-)、RA(COM)の3本の赤径側と、
DEC(+)、DEC(−)、DEC(COM)の 3本の赤緯側の計6個所にはんだ付けします。
COMはアース(−と考えていいです)のことですので
赤径、赤緯それぞれに1個あれば良いです。
RA+(COM)とRA-(COM)とあれば、それぞれは
つないじゃっていいです。
モジュラーコネクターの接続は、ビクセンAGA-1互換とします。 並びはAGA-1の説明書やこちらをご覧下さい
<運用方法>
DD-1(DD-2)に設けてあるオートガイド端子とオートガイド基盤のモジュラーコネクターを、6芯のモジュラーケーブルで接続し、
オートガイド基盤からは、ノートPCとUSB接続します。
(写真はSkySensor2000PCですがDD-1に設けたコネクターと同じオートガイド端子に接続しています)
管理人がテストした際のWebカメラは フィリップスのToUCam PROUです。 ガイド鏡は480mm、バローなし。
撮影鏡はR200SSですからガイド鏡に対してかなり長いです。
GuideMaster、、、これは友人が言っていたとおり、AGA-1に慣れた人でも違和感がないです。
視野に適当に星があれば、あとは自動キャリブレーションボタン一発で、勝手に使えそうな星をさがし
バックラッシュも2軸を双方向に動かして自動検出まで勝手にやってくれます。
自動設定がOKならばガイド星にカーソルを置いてガイド
開始。
ガイド中にチカチカと補正方向に点滅するガイド基盤のLEDもAGA-1と同様気持ちが良いですし
画面で動作がグラフと画像で確認できるのもいいです。
クリック一発の簡単オートガイドソフトですね。
気に入りました。
GuideMasterの詳しい使い方については検索エンジンで探してください。
私は適当にやったらそのまま使えました。 そのくらい簡単だと自分は感じましたが。
テスト撮影したのはものすごい光害の街中ですからM45にしました。
ISO200の設定で10分露出を2枚コンポジットしました。
カメラは改造D40です。
かなりいいガイド精度を出しています。 (精度を試す意味もあって、極軸を合わせずに
スカイセンサーは「キョクジクヲアワセテナイセキドウギ」モードで3点アライメントによる
2軸追尾とし、意地悪なテストをしてみました)
これならノートパソコンもってる人なら基盤購入するだけでGP赤道儀でもガイドできますね。
ケースは電気街でジャストフィットのものがありましたので適当にコネクターやらLEDの窓やら
加工して、
窓には裏側からアクリル板をプラリペアで溶着しました。 ケースは230円でした。
赤い透明の下敷きを きったものを裏から貼ると遠征時観測地で
LEDの光が周りに迷惑にならないようにすることもできます。
リレー基盤収納の一案ご紹介。
Webカメラと、リレー基盤入りの黒箱、ケーブルが100円ショップの小さいプラケースに
収まってしまいます。 コンパクトで手軽な感じは悪くないですね。
これでSKYSENSORも、STARBOOKも、DD-1も2も使えます。^^
お金が無い人お勧めです。
ただし、遠征観測地でノートパソコンのまぶしい画面をそのまま使わないで下さい。
めちゃくちゃ迷惑になります。 規則があるわけではありませんが、相手の気遣いができてこそ星を愛でて心安らぐというものです。
赤い透明の下敷き、カー用品店で売っているスモークフィルムを貼る等、遠征観測地でもベテランほど画面の明かりが迷惑にならないよう
気配りされています。 見習いたいと思います。