機材の保守、調整をしっかり行い、末永くベストコンディションで使いましょう!^^
 お約束ですが、分解、改造等は自己責任でお願いします。


■ビクセン MC90L鏡筒(VIPER) 分解方法 (ファインダー追加改造)

 (2008.2.13公開)


 

  ビクセンが販売する電動経緯台付きコンパクト天体望遠鏡VIPER(バイパー)に搭載される鏡筒MC90L。
中国製のマクストフカセグレンです。 たいへんコンパクトなのでマンションのベランダ等の限られたスペースで月や惑星を
楽しむのに良い望遠鏡でしょう。 また、直焦撮影される方が、このMC90Lをガイド鏡として使う事も多いようです。
 理由は軽量な割に1200mmもの焦点距離を稼げる点にあると思います。 
 ただ大変暗いので使いやすいかというとそうでもなく、長焦点の撮影鏡でのガイドをなんとかしたい場合等に
用いたり、搭載重量的に限りがある場合にあえて選択するという感じです。 管理人もVC200Lでの撮影時には
このMC90LをAGA-1でガイドする際に使っています。

  さて、ガイド鏡に主に使う場合に使いづらくさせている要因の一つが、脚が短く正立な純正ファインダーです。
簡易なもので、フィールドでガイド星を導入するには向きによっては実用になりませんし(撮影鏡が邪魔をして
のぞけない)、倍率も低すぎて視野もくらすぎます。

 そこで、MC90L本体を本格的に分解して、鏡筒の金属部分にビクセンのファインダー台座を
とりつけてしまおうという改造です。 

 樹脂部分への取り付けではフリップミラー側での使用時にのぞけなくなりますし、この部分はただのカバー
ですから強度的にもよろしくありません。 その為、大変なのですが、あえて金属部分に穴あけ加工をし
台座を取り付けることにしました。 とりつけたネジは内側からしっかりつや消し塗装したいので完全に分解します。

 しかしこのMC90L、分解方法が全然わかりませんでした。 Webを探しても適当な情報がなく、シブシブ
着手。 いやウソです。分解好きなのでウキウキです(苦笑) これからMC90Lを改造したい方、
中のフリップミラーが汚れてしまい掃除したい方、参考にしてください。

 まずピントノブを外します。

 チェッカリングされたゴムの下にイモネジがあるだろう、、とおもいきや、これはただの穴。
 関係ありません。 ノブは中のピントシャフトに接着されていますから、強引にバキッと引き剥がすしか
 ありません。 隙間にドライバーを差込こじって外してしまいます。 比較的簡単に外れます。
 問題はもう一つのノブ。

 

 フリップミラーのノブは中の芯もどうやら樹脂のようです。 ドライバーでこじってもなにをやっても
 なかなかビクともしません。 あまりやると破損しそうな感触でとってもスリリング。
 しかし遠慮はしません! ググググ、、、、バキッ!!!  折れたか、と思いましたが
 ちゃんとはずれました。 ここも接着されていますが樹脂同士なのでかなり怖いです。
 ノブを破壊するくらいのつもりでやりましょう。
  (管理人は、割れたらプラリペアで治すつもりで壊しても外す!くらいのイキオイでした)
 MC90Lで難しいのはこの部分の分解だけです。

 
 リアカバーのネジ3箇所を外します。 フリップミラーの軸の奥にも1箇所ネジがあるので
 これが為にフリップミラーのノブを外さねばなりませんでした。(なければ外さなくてもいけます)
 組み付け時点でもこの位置ではドライバーが入らないようで、ネジはゆるんでいました。
 さすがチャイナクオリティ、、、、;; ビクセンの暗視野ファインダーも分解調整した際中身は
 酷かったです。 やはり日本製がいいなぁ。

  3点のネジをはずせば、あとはリアカバーを引き抜きます。 かなりかたく金属部分が
 挿入されていますから、リアカバー下面にあるカメラ三脚取り付け台座に、自由雲台等の
 もつところをとりつけて、ここと、アリミゾをつかんでググググと円周方向に回すように
 力をかけてがんばります。 するとじわっと動く感じがしますから、後は簡単です。
 (この部分はねじ込みではありません。 リアカバー側に繊維でできたテープが貼り付けてあり
  このフリクションで固定されています)

 
 外れました。 でもご安心ください。 まだこの状態では光軸は狂いようがありません。

 
 フリップミラーの掃除が目的の方はここまでです。 私のミラーも汚れていましたので
 ついでに清掃しました。 フリップミラーの光軸調整機構でもそのうち改造して
 つけてやろうかと思えましたが、どなたかやりませんか〜?^^;

 
 本体側にはプレス加工で作られた厚手の主鏡セルに、光軸調整機構が備わっています。
 MC90Lは光軸調整はないと思っておられた方も多いのではないでしょうか。
  (余談ですが実は、比較的最近発売されたVMC110にもリアカバーに
   化粧板で隠された光軸調整ネジが装備されています。 )

 きっちりペイントロックされ動かないよう固定されているあたりの気配りは初心者ユーザーも
 視野にいれたビクセンらしいところ。 いじらせないだけあって、狂わせないという感じ。
 光軸調整は、このネジでやるわけですが、バッフルと主鏡の関係は固定ですから割と
 簡単かもしれません。 問題はこの状態ではアイピースを取り付けできませんから、なにか
 適当なアダプターを仮作成して作業するほかなさそうです。 適当な長さの延長筒をあてがって、
 バックフォーカス分距離をかせいで、アイピースをとりつけてやれば調整できそう。
 いずれ必要にせまられたら実施してみます。

 改造の方、分解過激派(笑)の方はまだまだです。
 次はこのセルを鏡筒から分離します。 ここから先をやると光軸の保証はありません。
 セル付近に見える3ヶ所のタッピングビスを外し、ドライバーを差し込んでこじったりしながら
 分離します。

 
 ガポッ、、、 はずれました。 接合面には大量にグリスが塗ってあるので
 内側のつや消し部分や光学部分に付着しないように注意が必要です。
 なんでこんなところにグリスが塗ってあるのかなぁ、、、金属の種類が違うので
 イオン化して腐食したりするのを防止しているのか、はたまた組み付けしやすく
 する為か、機密性保持の為か、、、分かりません。

 
 主鏡セルはよごさないように十分ご注意くださいませ。

 対物側の補正版は強くねじ込んであるだけですので、回して外してやれば筒だけになります。
 補正版の裏側は中央部がめっきされ副鏡となっていますが、、、汚れていました;;
 ついでに清掃します。 うぅ〜ん、、、どうも中国製の望遠鏡は見えないところで粗が目立つなぁ、、

 
 補正版セルは、裏側にある樹脂製のネジリングを回せば分解可能です。
 Oリングで機密性を保っているあたりは、防水バージョンのMCW90と共通かな。
 あるいは余計な応力をかけて補正版をひずませないための配慮かもしれません。
 補正版のフチはしっかりコバ塗りされています。このあたりはいいですね。
  コーティングは青みがかっており、白い紙をバックにするとややきいろがかって見えます。
 Y1フィルターくらいの感じ。 視野に着色しそうです。 色収差対策だったりして。

  
 
  さてメインの加工です。 使いやすい位置に台座を位置決めし、マークしたらまずは
 ピンバイスでちょっと穴をあけます。 その後電気ドリルで4φの穴を貫通させてやります。
 綺麗に空きました。

  
  なぜこんなものが在庫されているのか分かりませんが、いつのまにか買ってありました。
  とってもそれっぽく取り着いてます。

  
  内側はナットですから脱落しないようしっかり止めます。鏡筒を変形させない
  ぎりぎりまで絞めちゃいます。 そして内側には耐熱ブラックのスプレーで
  今回とりつけたネジもしっかりつや消し処理します。 やるならここまで
  やらないとキモチわるいですね。

  あとは外したパーツを綺麗に清掃して組み立てて完成!!

  
  MC90Lエニョールガイド鏡仕様。 皆さん仕様も勇気のある方、いろいろ
  トライしてみてください。 
 


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