機材の保守、調整をしっかり行い、末永くベストコンディションで使いましょう!^^
 お約束ですが、分解、改造等は自己責任でお願いします。


■ビクセン R200SS コマコレクター2でのゴースト、エクステンダーの併用他 
  (2008.6.29公開)


●強烈なゴーストが出てしまうコマコレクター2

ビクセンR200SSは、いまや唯一の国産ニュートン反射(今も国内生産していればの話ですが)
になってしまった。
初心者にはニュートン反射は向かないという押し着せな固定概念がそうさせたのか、
なぜかニュートン式は不人気である。私は初心者であっても同社のニュートン式は扱いやすく
よほど粗雑な方でなければお勧めしたいと思う。

 さてそんなニュートン不人気の昨今にあっても(ドブはのぞく)10年以上の
ロングセラーを続けるR200SSは名作に違いない。
見てよし、撮って良し、そして性能のわりに破格
(実測で1/20λ以下とも言われる驚異的な精度のミラー)。 

 そして猛烈に明るいので他の筒から移ってくるとあまりに短時間でサクサク撮れるので
拍子抜けするほどなのです。  これから星雲・星団の直焦点撮影をしたいという方には
私イチオシの鏡筒です。 
高額なアポクロマート屈折もいいのですが、ここまで明るいものはないでしょう。
簡単に撮れるという気持ちよさでは郡を抜いている一本ではないでしょうか。


 さて前置きが長くなりました。 
すでにR200SSをご愛用のお仲間の方へ直焦点関係の貧乏くさい小細工をいくつかご紹介です。
直焦点で星雲や星団を撮影される方は、間違いなく同社のコマコレクター(旧タイプ)あるいは
現行のコマコレクター2を使っておられるはずです。
 (ご存知ない方へ。 ニュートン式反射はパラボラミラーで集光したものをフィルム面や
CCD面のような平面に投射する為、構造上どうしても周辺部の星が放射状に伸びたようになる
「コマ収差」が発生します。 コマコレクターとはその収差を軽減する為の補正レンズのことです)

 現行のコマコレクター2は先端に52mm径(二コンでよく使われる径です)のフィルターが
ねじ込み可能なネジが増設され、光害地で半ば必須であるIDAS社のLPS-P2のような
光害カットフィルターが無加工で取り付け可能になりました。

 ですがこのコマコレクター2には致命傷とも言える不具合があります。 
それは輝星が写野にある時、写野中心に対して点対称の位置に強烈なゴーストを発生するのです。
(○ーたろさんの情報によるところ大でした。有難う御座いました)

  

 コマコレクター2と旧タイプの双方で同一天体を撮り比べたテストショットです。
 (下の写真は少々結露気味ですがご容赦を、、)
 コマコレクター2では強烈なゴーストが発生しておりこれではなんともなりません。
 LPS-P2との間で発生してると思いましたので外して撮影しています。

 もしR200SSでゴーストに悩まされている方がいらっしゃったら、それはコマコレクター2が
 原因です。 写野に輝星のないターゲットにするか、画像処理を駆使してゴーストを
 ごまかすほかありません。

  もし売れ残りや中古品が入手可能でしたら、まよわず
 旧コマコレクターを入手してください。


 個人的にビクセンの大ファンなので、是非こうした問題は改善してほしいと願い
 改善要望を出してありますが、硝材の変更にともなうレンズ設計の違いがありますから
 研磨皿や原器も当然別途作成しなおす必要があるはずです。
 これらは高額ですから、よっぽど数が売れないとこの要望が叶えられるのは難しいかな、、
 とも思います。 国産だった旧コマコレクターが中国製になったあたりからもコストを
 掛け辛い部分なのだと推測しています。

  R200SSユーザーの皆さんもメーカーに要望を出してみてください。



   →ありがとうビクセン。 コマコレクター3が発売となりゴーストが出なくなりました!

    
    コマコレクター3。 ゴーストも出ないしフィルターも付けられる。

     コマ収差の補正能力  コマコレクター2 > 旧コマコレクター > コマコレクター3
     ゴーストの発生有無   旧コマコレクター  =  コマコレクター3  >>> コマコレクター2

   といった印象です。

   旧コマコレクターの出来が大変良いのですが、フィルターがそのままではつかない点で
   新型のコマコレクター3の登場は多くの方が望む形ではないでしょうか。

   フィルター取付可否   可能:コマコレククター2、3  そのままでは不可能:旧コマコレクター

  なお、旧型のコマコレクターを愛用の方に朗報。
  ビクセンマーケティングさんに問い合わせると、コマコレクター2や3についている
  フィルター取り付けリングを単品販売してくれます。 これでフィルター問題も解決されますよ。(2009.04.20更新)


●コマコレクターとエクステンダーを同時使用したい!

 さて、幸いにして旧コマコレクターを入手できた方も、普通のコマコレクター2の方もこんなこと考えませんか?
 コマコレクターを入れた状態で、エクステンダー(焦点距離を伸ばす専用レンズ)を併用できないか、、と。
 メーカーによると併用は不可能となっています。 事実、取り付けができません。
 もしうまくいけばVC200Lにレデューサを入れた場合よりはるかに扱いやすく、R200SSにR150のような
 汎用性を持たせることができるに違いありません。

  そこで安直な手を考えました。 専用のエクステンダーではなく、普通の写真撮影につかうテレコンバーターを
 Tリング(カメラ取り付けリング)の間に入れてしまうのです。

  

 写真では、ケンコーの「1.4倍デジタルテレプラスPRO300 ニコン用」が装着されています。
 このテレコンバーターのいいところは、電子的接点他が完全に連動することです、、がマニュアルフォーカス、露出の
 天体写真にはあまり関係ありませんね^^;

   D40、D40X、D60はペンタミラー部分が出っ張っているので、ビクセンの直焦ワイドアダプターの
 回転装置部分のネジに当たってしまいます。 私はこの写真のようにネジを削って当たらないように
 細工しています。 テレプラスを入れた時には問題ありませんが。

 取り付けには問題がないのですが、
  当記事の公開時点では、この組み合わせでの実写テストがまだなされておりません。
 実際に撮影した時にどのような不具合が出るのか(はたまた全く使い物にならないのか)情報を提供できませんので
 テレプラスの購入をお考えの方は、もうしばらく待ってこの記事が充実してからでも良いかもしれません。
  →2008/07/04テストしました。

 まずはテレコン(テレプラス)なしで普通に撮ったもの。
  
   R200SS コマコレ LPS-P2 D40改 ISO1600 5分X6  
  NewAtlux AGA-1 YIMGでダーク減算 PhotoShop3.0.5Jにてコンポ&処理
  薄曇りですが強引にテスト撮影しました。


  次はテレプラスを入れた時のもの。
  
  R200SS コマコレ ケンコーX1.4テレプラス LPS-P2 D40改 ISO1600 7分X4  
  NewAtlux AGA-1 YIMGでダーク減算 PhotoShop3.0.5Jにてコンポ&処理

  テレプラスを入れた時の画角やコマの様子を比較してみることができます。
  テレプラスを入れた場合、コマ収差が目立つようになります。 目をつぶって楽しむにはこんなもんでしょうか。
  あと、やっぱり少々像が甘くなる印象。 アンシャープマスク併用が前提でしょうか。
  シャッターを切る際には、連動機構の振動が「ジャキッ!」という感じで結構大きいです。
  筒先シャッターを使って振動が収まってから露光するような工夫が必要かもしれません。
  作例はそのようにして撮りました。(ないとブレるときがありましたので)


 カメラと望遠鏡の間に入れるので、事実上どんな望遠鏡にもこの手は使えます。
 冗談半分で、VC200Lの焦点距離をさらに伸ばしたいと思い購入したのがきっかけでした。
 R200SSの記事でVC200Lの写真というのも違和感ありますが、いろいろな筒につかえるという事でご紹介。
 こちらは実写テストしてあります。

  

  VC200Lに同テレプラスをはさみ、2520mmにてISO1600で10分X2で撮影したM27


  
  同じくVC200Lに1.4倍テレプラスをはさんで2520mmにて撮影したM57.中心星まで写りやすくなりました。
  ISO1600 5分X3枚。


  VC200Lの焦点距離を伸ばすのにも、R200SSの焦点距離を伸ばすのにも、さらにはED100Sfだって、、、
  なんにでも使えるという点ではありがたい小道具です。
  ですが、このケンコーテレプラス、コマコレクター2と同様に決定的なデメリットがあります。
  輝星にこれまた強烈なゴーストが発生してしまうのです。 とはいえそれを差し引きしても撮影の幅がグッと
  広がる楽しさがありますので小技の一つとしてご紹介しました。

  構図を工夫したり、レタッチでごまかす等の姑息な手段で逃げ切ってください(苦笑)

  R200SSで全部とりつけるとこんな感じになります。
  

  旧コマコレクターの方、残念ながらそのままではフィルターを取り付ける手がありません。
  私はコマコレクター2と両方持っていますので、2のほうからフィルター取り付けリングを拝借してきて、
  旧コマコレクターの先端に少しだけあるネジにねじ込んでフィルターを装着しています。

  53mm(多分、、各自ご確認ください)→52mmのステップダウンリングを買ってくれば同じように
  旧コマコレクターの先端にフィルター取り付け部を増設可能でしょう。 この手法はAV102SSで
  レデューサコレクタに使ったのと同じ考え方です。

   旧コマコレクターの場合、比較的コマコレクターとLPS-P2の距離が近いのですが、ゴーストが発生したことは
 ありませんでした。 コマコレクター2の場合でも同フィルターが原因でゴーストが増えたということもなかったので
 この方法は安心してご利用いただけると思います。 ただし、旧コマコレクターでフィルターリングを増設された場合
 リングがねじ込める部分が微小なので、抜け落ちて主鏡に落としてしまうことがないよう、固定方法に
 接着を併用する等の対策をして、是非ともご注意くださいませ。


 ということで、ゴーストの問題はあるものの、あれこれ使えてとっても便利な通常写真用のテレコンバーター、
 機材の一つに加えられるのはいかがでしょうか?  、、というまでもなくすでに皆さんやっておられるでしょう。
 R200SSとエクステンダーが同時に使えないとお悩みの方への逃げの手、、という事で記事にしてみました。


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