機材の保守、調整をしっかり行い、末永くベストコンディションで使いましょう!^^
 お約束ですが、分解、改造等は自己責任でお願いします。


■ブローニーフィルム(120)の裏紙外し (2010.9.18公開)


 フィルムで撮影する天体写真は独特の味があり、根強いファンが居ます。
 今はまだフィルムで写真を楽しむ事ができる時代なのですが、正直情報が枯渇していて、新規に手を出そうという方が
 苦戦しているはずです。 

  特に天体写真でフィルムを使う場合、デジタルカメラでは考えられないような長時間露出が普通になります。
 短くても30分、長ければ2時間超もありうる世界です。 撮影中にフィルムが湿気を吸って浮いてしまったり、
 ズレてしまう事も出てきます。 とくに湿度の高いときに、ブローニーサイズ(中判)のフィルムは面積が大きく
 すぐにフィルムが浮いてしまい、せっかく出したピントが部分的にズレテしまって、ピンボケムラムラの悲しい写真が
 出来上がり。 こうならない為に、多くの方が「吸引改造」をカメラに施し、バックプレートにフィルムを吸い付けて
 浮き上がらないようにしています。 (吸引改造については、天体写真関連書籍を参考にしてください)

  そんな吸引をしようとした時には、220タイプのフィルムを使います。220タイプはフィルムを長く収納するために
 裏紙がフィルム先端と、後端に部分的にしかついていないタイプです。  つまり露光する部分はフィルムのみです。
 これに対して、フィルムの先端から後端まで全部に裏紙が重なっている120タイプというものもあります。
 こちらは露光する部分もフィルムと裏紙が2枚重ねになっているものです。

  フィルムを裏側から吸引するわけですから、裏紙があっては困ります。 裏紙だけ吸い付けられて、フィルムは
 浮いてしまいます。 

  つまりフィルムを吸引固定できるのは220タイプだけということになります。
 でも銘柄によっては120タイプしか販売されていなかったりするので、どうしようか、、、
 そこで行うのが「裏紙外し」という手法です。

 120タイプの裏紙を自分で取除いて、220タイプのように吸引を可能にする作業で、フィルムで天体写真を行う方は
 普通に行っています。

  しかし残念ながら、いまこの方法を詳細に紹介した書籍も入手困難であったり、ネットにも分かりやすい情報が
 ない為、調べようがないと困っている方も少なからずいらっしゃることでしょう。
 そこで、これからやってみようという方の為に、裏紙はずしの方法を図解にしてみました。


 ●用意するもの

    1 使いたいブローニーフィルム(120タイプ)
    2 空スプール 
    3 ダークバッグ
    4 ダークバッグに収まる両端が開いたダンボール
    5 ハサミ
    6 厚手のテープ
    7 フィルム作業用手袋(左手のみ)
    8 糊


     1 は市販で220タイプがなければの話です。 220タイプが販売されていればそれを使ったほうが
       トラブルが少なくていいです。

     2 空スプールはプロラボや大きなカメラ店に相談して捨てるものを貰ってくるか、
       裏紙はずしの練習で1本犠牲にするフィルムがあるなら、それを使うなどして用意します。

     3 携帯暗室とよばれる、ダークバッグ。 LPLのものならLMサイズあたりがいいでしょうか。
       両手をこの袋につっこんで光があるところでも感光しないで作業できる袋です。

     4 ダークバッグの中に空間をつくるために、適度なサイズのダンボールを入れて枠にします。
       両端が開口したダンボールをあらかじめダークバッグに収めておきます。
       両端の開口部から手を入れて、その中で作業することになりますので考えてサイズを
       選んでください。

     6 フィルム後端を裏紙に固定するテープです。 カメラのまきもどし操作で千切れず、
       作業しやすいものを選びましょう。 セロテープは薄すぎて手探りでの作業がしにくいので
       紙のラベルシールか、カッティングシートの切れ端などが使いやすいでしょう。
       あらかじめ、フィルムの巾より1cmほど狭い長さになるよう切ったものをダークバッグの中に
       用意しておきます。 一部をはがして中のダンボールに軽くはっておくと、手探りでも
       作業しやすいかもしれません。

     7 ダークバッグの中で手探り作業する際に、あやまってフィルムを触ってしまったり、
       傷をつけたりしないように、片手だけでもフィルム作業用の手袋をしたほうが安全です。
       右利きの方は、左手にして、フィルムを押さえる時などに使います。
       この手袋もダークバッグの中にいれておき、必要に応じてはめます。


     8 作業がおわったら、封印してある紙テープを再び貼るのに使います。



 ●作業の実際

    以下の図解のごとく裏紙を外します。 これらはすべて、ダークバッグの中で光に触れないようにして行います。
    (最後の紙テープを止めるところは、感光しないよう用心しながらやれるならば、ダークバッグ外でもOKです)

    


 完成しましたか?
  現像に出すときには、「このフィルムは裏紙が外してあります」と必ず伝えるようにしましょう。


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