これから天文趣味を始めようという方、きっと耳慣れない用語が平然と飛び交うWebや掲示板、
雑誌に戸惑うことでしょう。 入門書を熟読されていれば殆どの言葉の意味は理解できると思いますが
私がこの趣味をやり始めた頃、やっぱり用語が分かると理解しやすいなぁと感じたのを覚えています。
そこで素人が素人に薀蓄をたれてしまう事になってしまうかもしれませんが、備忘の意味もこめて簡易な用語集を
作成していきます。 少しばかりのお役に立てれば幸いです。
管理人の記憶がアヤシイトリビアを、Webを巡ったり
本を読んだり、プラネタリウムで聞いたりして補強しつつ読み物風にしてみました。
極めて主観的な視点の用語集もどきをお楽しみくださいませ。
【あ】
■アーク
ビクセンの販売する大型双眼鏡の商品名。 対空型ではなく、直視タイプですが、
根強いファンがいるようで新型となって今もカタログに並んでいます。
ちなみにアークとは「箱舟」の意味。
■IRカット
IR(赤外線)をカットするフィルター。 天体写真を楽しむ多くの人は、現在デジタル一眼レフを用いますが、
一般の撮影では赤外線に過敏なCCDやCMOSをそのまま使うと映像が赤外線カブリしてしまいます。
そこでIRカットフィルターをセンサーの前に設けてこれを防止しますが、天体写真でよく目にする赤い星雲は
近赤外域の為、このフィルターがあると殆ど写りません。 そこでこのIRカットフィルターを取除いてしまうか、
赤外線はカットしつつも赤く写る星雲(H2、Hα領域)の波長は通すように特別に作られた天体写真用の
IRカットフィルターに交換する改造が一般的になりました。 市販のデジタル一眼を購入して、天文機材を扱う
専門店に改造を依頼するか、自分で改造する事でIRカット対策が可能です。
■アイカップ
接眼レンズやカメラのファインダーの見口に付いている目当て。
ゴムのカップ状の形状のものが多く、いかにもその名の通り。 双眼鏡やアイピースのここが薄いゴムで出来ている場合、
折り返してやればメガネの人でもかけたまま覗けるようになっているものが多い。 ただメガネをはずして覗いたほうが
見やすいので結局どうなのかな、、という声もあります。
■IDAS(アイダス)
いまや日本の天文ファン、特に写真をやる人でその名を知らない人はいないほど有名になった
光害カットフィルターLPS-P2を代表とした天文用の光学フィルターを製造しているアイキャス製品のブランド名。
メーカー名と勘違いしている人が多いが、会社名は(有)アイキャス・エンタープライズ。 IDAS事業部が扱う。
天体写真用にIRカットフィルターを交換改造したカメラも販売しています。
HPはこちら http://icas.to/space/index.htm
■アイピース
接眼レンズの事。 天体望遠鏡で人間が覗くところについているレンズ。 取り付け部の直径は国際的な規格になっており、
後から好みのものを買い足すことで倍率はいくらでも変更することができます。
現在主流の直径はφ31.7mmのアメリカンサイズと呼ばれるものが普通です。
以前はφ24.5mmのツァイスサイズが国内でも主流でしたが現在では古参のマニアが大事にしてきた望遠鏡を
なつかしむ意味合いも込めて大切にしているようです。
φ31.7mmのアメリカンサイズでは満足できない眼視観望派の方はさらに差込口(スリーブ)の口径が大きい
φ50.8mm(2インチ)のものを使用する事も少なくありませんが、高額になりがちなので最初は普通のアメリカンサイズで
良いのではないでしょうか。 眼視観望の方にとってアイピースはとても大切ですから良質なものを選んでください。
■アイベル
三重県にある天体望遠鏡専門店。 ビクセン製品が結構強い。
メガネ屋さんの二階にあり、建物の屋上には天文ドームも備えている。
店内には望遠鏡がところ狭しと陳列されており、ここの中古品を定期的にチェックに店を訪れる
固定客もいるとか。 比較的安価。 店長か店員さんが手作りしているようなオリジナル商品も
あり、ポータブル赤道儀のCD-1などが有名になりました。
■アイポイント
→アイレリーフ
■アイレリーフ
接眼レンズから目までの距離。 あまり短いと睫毛がレンズに触れたり、眼球がレンズに触るのではないかと
思えるほどに目を近づけなくてはならなくなる。 焦点距離が短い接眼レンズほどアイレリーフは短くなります。
これを解消する為に、焦点距離が長いアイピースにバローレンズを入れてアイレリーフを稼ぐ手法もありますが、
最初からアイピース内部にスマイスレンズと呼ばれるバローレンズと同じ働きをするレンズを組み込んで、
短焦点ながらアイレリーフを長くとった製品もあります。 ただし透過するレンズが増える為に像の劣化は
避けがたいという弱点もありますが、覗きやすいほうが使いやすいという声も多く、良いアイピースの定義は
一概に像質だけでは語れないものがあるようです。 メガネ率の高い日本ではアイレリーフは大切な要素
ではないでしょうか。 アイレリーフの長いものは「ハイ・アイレリーフ」「ハイアイ」などとも呼ばれます。
代表的なものとしては、ビクセンのLV(NLV)アイピースが有名です。 双眼鏡でもアイレリーフが20mm程度あると
大変覗きやすくなります。
■アクロマート
屈折式天体望遠鏡の1形式。 光は複数の波長からできていますが、そのうち2つの色域で焦点が集まるように
設計されたレンズの総称。
レンズはプリズムの連続体とも考えられますから通過した光は異なる場所で焦点を
結ぼうとします。 (波長が短い光(青側)のほうが屈折率が大きい)
そこで屈折率の異なるレンズを複数くみあわせて同じ位置で焦点を結ぶように工夫した
「色消しレンズ」の一種です。 普通は2枚の凸レンズと凹レンズが組み合わされ、凸側をクラウンガラス、
凹側がフリントガラスでできたレンズが使われます。クラウンガラスが低屈折率、フリントガラスは高屈折率です。
実際に星を1枚だけのレンズで観察するならば星の周りに虹色のにじみが発生しますが、
アクロマートレンズはこの仕組みによりその不快な色を消してくれます。
ただし人間の肉眼で見た場合に色にじみができるだけ目立たないように設計されているので、
人間の感じない色まで写し取ってしまう天体写真で使うと考慮していなかった色域が滲みとして現れます。
比較的安価に製作できる為入門用の望遠鏡の多くに採用されている形式です。
ただしアクロマートといえどもその設計の意図や製造の丁寧さにより天と地ほどの差があります。
■アストロアーツ
天文雑誌「星ナビ」を出版している会社。 その名のごとく星にかかわる雑誌やソフトウェアを販売している。
天体写真を楽しむ人にあわせて作られた画像処理ソフト「ステライメージ」や、自動導入赤道儀と組み合わせても
使用できる星図ソフト「ステラナビゲーター」も同社の製品。 比較的初心者にもとっつきやすい雰囲気を
醸し出している出版社だという認識が多くの天文ファンにあるようです。
■アストロ光学
80年代の天文少年から熱烈な支持のあった天体望遠鏡メーカーの一つ。
現在は個人向けの製品からは撤退し、公共向けの天文ドーム等を含め、観望環境全体としての
プロデュースをしているようです。 アストロ光学の製品ではLN赤道儀、MEGA赤道儀などが
人気があったように思います。 カタログにはメイン望遠鏡の上に撮影時に使うサブスコープ他、
いろいろなものが取り付けられた写真が目立ち、子供心にワクワクさせられたものでした。
(今考えると滑稽にも映るのですが、あのワクワク感は今の時代では真似できないでしょうね)
■アストロフィジクス
アメリカの天体望遠鏡メーカー。 高性能なED屈折望遠鏡(StarFire)が有名ですが、悲しいかなかなり高額です。
ごっついGTO赤道儀など高嶺の花;; 某天文台ではこいつがガイド鏡になっていました。 うらやましい、、、
Webはコチラ http://www.astro-physics.com/
日本では、すばる光電子の天文部門が代理店になっています。
http://www.mmjp.or.jp/subaru/index~astro.html
■アポクロマート
屈折天体望遠鏡の1形式。 アクロマートでは2色の色域で焦点が一致しますが、アポクロマートでは
さらに追い込み3色での色域で焦点が一致するように設計されています。 2〜3枚以上のレンズを組み合わせ、
レンズ自体も普通のクラウンガラスやフリントガラスではなく、フローライト(蛍石)やED(異常分散ガラス)、SD等の
高額な材質が用いられる為、望遠鏡自体の値段も驚くほど高額になります。 ただしよく色消しされたアポクロマートで
観察する星は針でついたように小さく、大変緻密な像を楽しむことができます。 天体写真で用いられるのは
屈折式の場合には殆どがこのアポクロマートレンズです。
■天の川
夏と冬の夜空に大きくかかる光の淡い帯。 これが大量の星の集まりであることを発見したのは
あの有名なガリレオ・ガリレイ。 天動説全盛の中世に、宇宙観を大きく揺るがした大発見でした。
彼自信も自分の目で見ることによる大切さを語っています。 7倍程度以上の双眼鏡で天の川を観察すると
本当に星の海であることを私たちも見ることができます。 この天の川、実は私たちが住んでいる銀河系の渦巻きの
腕(渦状腕)を内側から見ているのです。 これはちょっと凄いことではありませんか。
ゆえに私たちの住んでいる銀河系は「天の川銀河」と呼ばれています。 お隣の銀河は有名なアンドロメダです。
天の川を見るには、街明かりが少なく、月が昇っていない夜が最適です。 残念なことに人間の放つ無駄な光が
天の川が見れる環境をどんどん遠くへ押しやっています。
■アメリカンサイズ
アイピースの差込口の直径がφ31.7のもの。 現在殆どの望遠鏡はこの直径になっていて、どこのメーカーのものを購入しても
差し替えて使うことができます。 なお、以前はφ24.5のツァイスサイズが使われてきましたが現在では極めて少数派です。
より視野角の広いアイピースを求めるとどうしても大きな直径のスリーブ(差込口)が必要になります。 すると主流となる
アメリカンサイズでも不足となり、さらに大口径なφ50.8mm
■アッベ数
レンズ等を通過した光がどのくらい虹色に分光(分散)してしまうかを現す数値で逆数になっている。
逆数ですからアッベ数が大きいほうが分散が少ない事になります。
都合上3種類の波長の光に対して、どのくらい屈折率が違うのかの度合いを示しています。
屈折望遠鏡の性能を示すスポットダイアグラムというグラフにg線とかC線とかかかれているアレです。
アッベ数の場合、このうち F線(青。Hβ線。486.1nm)、d線(587.6nm)、
C線(赤。天体写真だと赤い星雲の写るあのHα線。水素元素の励起した時の波長です。656.3nm)
の3つで考えます。 〜線については「フラウンホーファー線」について調べてみてください。
これも天文学よりの天文ファンには欠かせない知識でしょうね。
天文ファンとしては、屈折望遠鏡のレンズの色収差を現す数字と思って良いでしょうか。
ドイツのエルンスト・アッベの名前からアッベ数と呼ばれています。 日本の天体望遠鏡に採用されている
光学ガラスのメーカーは多くありませんが、それらのメーカーのサイト(例:オハラ、HOYA等)をおとずれたり、
屈折望遠鏡をジャンクのレンズで自作しようという天文ファンが、そのデータシートを見る時なんかに気になる数字でしょう。
■アッベ・オルソ
アイピースの1形式。 「Or」(オルソ)の基本形式で、ドイツのエルンスト・アッベ氏(ツァイスの技術者)が
開発したためこう呼ばれます。 オルソとはオルソスコピックの略で、「整像」という意味。
アッベ式のオルソは、3枚のレンズを張り合わせた前郡、1枚レンズの後郡の2郡4枚の設計。
設計は100年以上前のものですが、現在でも惑星をメインに観望する方、高倍率で抜けのよい像を
楽しむ天文ファンからは絶大な支持があるクラシカルレンズの一つとなっています。
3枚の豆粒のようなレンズを密着するように研磨し、光軸を狂い無く張り合わせる必要がある為、
大量生産に向かず熟練工による手作業での製作となります。 その割に設計が新しいアイピースのように
高額で販売されることも無い為、現在では生きた化石となっています。
国内では(有)谷光学研究所で細々と手作りされている、通称「谷Or」が貴重な生き残りですが、
作者が高齢でもある為、いつまで入手できるか心配だというファンもちらほら。 管理人お気に入りの逸品です。
■アライメント
位置を定義する作業。 ハイテク化された自動導入装置付きの天体望遠鏡架台の多くは、この
アライメントを行う必要がある。 実際の星の位置を自動導入装置に覚えさせる作業と考えていい。
赤道儀にしても経緯台にしても直行する2軸を動かして星を視野に捉えますが、コントローラは
今自分が星空のどのあたりを向いているのかが分からなければ目的の星に向けようがありません。
そこで、比較的目立つ一等星を基準星として、人間が手動でそこへ望遠鏡を向け、例えば夏なら
これがデネブ(はくちょう座のα星)ですよ、とか、ベガですよ(こと座のα星)と最初は機械に
教えてやらねばなりません。 1つだけの基準星を覚えさせてやる方法を1点アライメント、
2つだと2点アライメント、3点アライメントになると相当に正確に星を捉えることができるようになります。
望遠鏡の軸が地球の自転軸とぴったりあっていなくても(赤道儀の場合。)、3つの星がわかれば
三角法の原理で特定の星の位置を計算し、内臓されたコンピュータが目的の星の位置を割り出すことが
できます。 最近のものではこのアライメントさえもGPSと傾斜センサー等を組み込んで半ば自動化された
人間がすることがないような製品もあります。 自力で導入してやっと星をみつけたときの楽しさは
趣味には大切な要素だと思いますが、時間のない天体写真ファンには人気のある自動導入です。
ですが天体写真ばかりやっている方で経験の浅い場合、アライメントに使う有名な星の名前がわからず
困るという話は苦笑いするほかありません。 その為、ビクセンのコントローラは簡易星図まで
表示されるようになりました。 ちょっとはずかしいので絵の出ないスカイセンサーがいいという声もちらほら。
■アリガタ
台形断面をしたレールで、望遠鏡と架台との着脱を簡便にするために多く採用されている。
アタッチメントレールとよばれるやや長めのものもあります。 ビクセンがGP赤道儀で採用し
またたく間に業界標準となりましたが、ビクセンの標準品は初心者への気配りからか
とにかく脱落しにくい形状になっており、凹側のアリガタ金具もメインの止めネジの横にもう1本
脱落防止ネジがついていて、このネジがかかる部分の傾斜が削ってあります。 また
取り付け部前後にひっかかるように突起が設けられ取り付け時に落下させない工夫がありますが
鏡筒のバランスを取る際にここをスライドさせてやることができない為、なれた人は不便だと
思うようです。 そこで取り付け面にデコボコがない「スライドバー」が別売されています。
古い望遠鏡などは、1点止めの鏡筒バンドに、このアリガタを取り付けてやれば今時の経緯台や
赤道儀の多くに搭載できるようになり、資産の有効利用にもアリガタイアイテムです。
■アリミゾ
台形断面をした溝で、同じく台形断面をした相手金具(アリガタ)を挟んで取り付ける台座の名称。
オスがあり方、メスがアリミゾということになる。 天体望遠鏡の鏡筒を、経緯台や赤道儀にワンタッチで
取り付け、また取り外しができるようにアリミゾ、アリガタを大々的に採用したのがビクセンのGP赤道儀。
このGP赤道儀の中国製コピーが大量に出回った為か、中国で製造させていたものが流れたのか、たちまち
天体望遠鏡着脱のスタンダード規格となった。 元はといえば工作機械等では普通につかわれているアリガタ。
天体望遠鏡に使おうと思いついたのはきっと現場で機械加工の経験のあるエンジニアだったにちがいないと
思うのですがどうでしょうね。 現在ではタカハシ(ちょっぴり巾が違うけど)、セレストロン、ケンコー、その他
いろいろ互換性があり、鏡筒本体と台が違う組み合わせもたのしめるのでありがたいものです。
アリガタイ!? オヤジギャグですよ。これは。(シツコイデス)
アリガタは傾斜している面に片側はネジでアリガタをくわえ込むのですが、割に強固な固定ができて
見た目より頑丈です。 ビクセンではアリミゾ金具を「プレートホルダー」という商品名で単品扱いしています。
■アルビレオ
はくちょう座(夏の星座)のくちばしの星。 望遠鏡で観察すると2つの星がよりあつまったように見える二重星。
赤と青の異なる色をしており、大変美しく人気があります。
■α星(アルファ星)
各星座の中で最も明るい星。 全ての星はいずれかの星座に属するように星図では区分されていますが
星座を形づくる主だった星は明るい順にα、β、γ、、、とバイエル記号とよばれる記号で区分されています。
■アルフェラッツ
アンドロメダ座(秋の星座)のα星(一番明るい星)
アンドロメダ姫のアタマに当たる星になります。 ですがその意味は「ウマのヘソ」。
ペガスス座の星座絵で見ると確かにペガスス(馬です)のへそです。 これは以前は両方が
重なっていたのですが、天文学の都合上、どの星座のどの領域にどんな星があって云々と
地図のように扱う上では1つの星が複数の星座に共有されているのは好ましくありません。
(ちょうど県境が両方の県の管轄ではなく、かならずどちらかになっているようなもの)
これは1929年の国際天文連合にて取り決められました。 いくら天文学者といえども
姫の頭を取ってしまうほど無粋ではないようで、ちゃんとアンドロメダ姫の頭は残りました。
ですがネーミングが、、 こういう事を知っていると星の名前も覚えやすくなります。
■アルテミス
星座の物語には必ず登場する月の女神アルテミス。 ギリシャ神話では戦いの神とされています。
荒くれもののオリオン(森で大暴れ)に人目ぼれするという奇特な女性。
オリオンに恋していると知ったアルテミスの兄はそれを阻止すべく、弓が得意で気の強かった
アルテミスに、川で鹿が遊んでいるぞ、ここから狙えるか!?と挑発し、見事射止めますが
実はそれはオリオンでした。 心をよせていたオリオンを自らの手で葬ってしまったアルテミスは
日ごとにやせおとろえ、月はどんどん細くなっていきます。 云々、、、という物語があり、
プラネタリウムでも比較的ポピュラーなエピソードですね。 現実のギリシャ時代には
アルテミスの像は人身御供が捧げられるもので、血なまぐさいものがありますが、
そういうお話はなかなか出てきません。 ロマンチックじゃないですからね。
■アルファルド
うみへび座のα星。(最も明るい星) ちなみにアルファルドとはアラビア語で「孤独なる者」の意味。
アラビアは結構星座どころでした。 この界隈は春の星座でこれといって明るい星はありません。
その中にちらりと輝くその星こそ、このアルファルド。 やっぱりちょっと寂しげですね。
うみへび座は南天に広がる巨大な星座で全体を結ぶのはちょっとやっかいですが、アタマの逆三角は
割と見つけやすい位置にあります。 しし座とかに座の間あたりをちょっと下がった付近を探してください。
このうみへび座は、化物の蛇で、怪力のヘラクレスに退治されてしまうのですが、それを助けようとする
お隣の、おなじく化物仲間の怪物カニ(でもとても弱いです)の悲しげなお話は結構友情を感じさせるもので
某市の科学館の解説員H氏のお話に特定のファンがいるようです。
■アルマク
アンドロメダ座のγ星。 星座絵でいくと足(折り曲げてないほう)の星。 実はこれも二重星で美しい。
なぜか覚えにくい星の名前で管理人はよく忘れます。 スカイセンサー(ビクセンの自動導入コントローラ)の
アライメント(星の位置を機械に覚えさせる操作)の候補に登場するも、場所がわからず使わないという
ヌルイ天文ファンが他にいるでしょうか、、管理人の程度が伺いしれます。
ですが星図を見ると「ああ、これこれ」と思い出すところをみるとすでにアルツ、、、
■アンタレス
夏の星座、さそり座の心臓の星。 α星。 アンチ・アレス(火星に相対する者)というような意味合いで、
火星と赤さを競うかのように不気味に赤い星です。 アンタレスの付近には球状星団M4や、カラーフィルムで
長時間露出すると大変カラフルな色とりどりの星雲が写り、天文ファン(とくに写真な人)に人気のあるエリアです。
南の空低い位置なので空に出ている期間が短いのが玉に瑕。 赤くて目立つので、南の空が開けた場所ならば
よほど光害が強くなければ発見できるでしょう。 ただし街中ではこの高さでもかなりビルが邪魔をしますね。
■アークトゥルス(アルクトゥールス)
発音がいろいろありますが、比較的古い人はアークトゥルスと呼ぶことが多いように感じています。
うしかい座のα星。 春の星座です。 アークトゥルスを下にして、上に広がった辺を持つネクタイのような
形に結べばそれがうしかい座です。 うしかい座ですがなぜかアークトゥルスの意味はギリシャ語で「熊の番人」。
それはうしかい座の星座絵になっている男性アルカスの母親、カリスト(森の妖精で大変美女だったという設定)と
浮気者の大神ゼウスとの間の子なのですが、ゼウスの妻ヘーラがねたんでカリストを熊に変えてしましました。
森に逃げ、ひっそりくらしていたカリストとばったり出くわした大人になったアルカス。
母親のカリストは、りっぱに成長したアルカスを抱きしめたいと思いますがいかんせん熊の姿、、、
大変悲しい物語です。 (このお話は、今は亡き、東急デパート町田の屋上にあったプラネタリウム、
スターホールでのすばらしい解説で聞かせて頂いたものが一番印象的でした)
結果アルカスも熊になって夜空に上げられるのですが、それがおおぐま座のちかくによりそう小熊座です。
うしかい座は人間だったころのアルカスの姿。 その手には2匹の猟犬を従えています。
■暗黒星雲
宇宙空間に密集して存在する塵の塊。 分子雲とも呼ばれます。
これが自分の重力でどんどん密集していくと、自分の密度に耐え切れなくなり、やがて核融合が起こり、
太陽のような恒星が誕生します。 いわば星の原材料。
背景の星や、淡く光る星雲の光を遮る黒い雲のように見えることから、暗黒星雲と呼ばれます。
暗黒星雲から生まれたばかりの星が強烈な紫外線を出し、それにより励起した水素等の分子が
光輝くのが散光星雲ですから、大抵は散光星雲とセットで観察することができます。
ちょうど散光星雲の影絵のようです。 有名な馬頭星雲などは暗黒星雲が作り出す影絵の造形美です。
■アンドロメダ
M31の事。 Mとはシャルル・メシエが彗星を探す際にみまちがえないように、ぼんやりと光る星雲や星団に
番号をつけてカタログ化した際の番号。 メシエ天体31番ということになる。
秋の夜空に高く上る、ペガスス座とつながるアンドロメダ座(アンドロメダ姫の頭は、ペガススのヘソです)
の膝の上あたりにある。 天の川が見えるようなところでは肉眼でも見えるほどの巨大な系外銀河。
私たちの住む天の川銀河から最も近いお隣の銀河系です。 眼視観望では写真のように派手には見えませんが
口径が20cmあたりから暗黒帯が2本ほど見える場合があります。 双眼鏡でもぼんやりとした楕円に見えます。
■アンバーコート
レンズやプリズムに光が入る際の反射を防止するコーティングの一種。
表面の色合いがアンバーであることからこのように呼ばれます。
光学ガラスの一部は黄色がかった色合いに見えるものがありますから、この波長を
カットする(反射してアンバーに見える光は通していないということ。つまりカットされています)
ことで色合いを自然にしています。 古めのカメラ用レンズや双眼鏡のプリズムの一部に
アンバーコートされたものを見ることができます。