■装備の解説

それぞれの塊について少し説明を加えたいと思います。 その意味を知っていると皆さんでさらに工夫して
快適して頂くこともできるでしょう。


8 バッテリー、ハーネス類

  フィールドでは自宅のようにAC100Vは使えませんから電源の確保が一つの課題です。

  一部発電機を遠慮もなく回しつづける方もおられるようですが、静かに星を楽しみたい方への配慮や
  環境への気遣いが欠ける行為として、多くの天文ファンから軽蔑のまなざしで見られるばかりか、
  遠征観望地の管理者から夜間出入り禁止を申し付かる場合もあります。 

   遠征観望地で発電機は絶対に使用してはいけません。

  オートキャンプ場ですら発電機禁止という規則があるほどですから、星見の場所で発電機を平気で回すなど
  いくらテクニックがあっても問題外です。
  (天体写真で大変著名な人がこれをやっていたと、特に関東圏のフィールドで頻繁に耳にします。
   話題にする方の殆どがものすごく怒っておられたので相当に酷かったのでしょう。 )


  現在の、特に天体写真を楽しむ方の機材は電子機器が多様されていますので電源は死活問題なのは
 確かです。 となるとパワーソースはおのずとバッテリーとなります。

  自動車用のバッテリーは充、放電の電圧差を考慮していない(走行中つねに充電され続けている)為、
 電源に適さないという声もありますが、こうした方は船舶用途でよく用いられる「ディープサイクルバッテリー」
 を選択します。 ですがバッテリー本体も高額なうえ、充電器も高くて手を出しにくい人も多いようです。
  また、DCワークスのようなポータブル電源は、シールドバッテリーを内蔵していますが、絶対的な容量が
 少なく、一晩持たないという苦しさがあります。 バッテリーの選択で肝心なのは

  1 とにかく容量が大きいこと。
  2 低温時の対策

 この2点を押さえればそこそこ良好な運用をすることができます。
 そこで管理人は自動車用の大きめの12Vバッテリーを、保冷バッグに入れて使っています。

  
  ホームセンターのキャンプ用品売り場や、釣具屋で大変安価に入手でき、保温性能も申し分ありません。
  バッテリー購入時のダンボールもそのまま使います。 ダンボールの保温性能はあなどれないものがあります。
  あまりに寒い時には、前述の灰カイロを中に放り込んでやれば、
  低温による電圧低下をかなり軽減できます。


  このバッテリーのサイズは自動車用の規格で 「55B24R」。

  ニューアトラクスと、GP赤道儀それぞれをAGA-1でオートガイド撮影して1晩(8時間以上)は楽勝です。
  この状態でもバッテリー残量は充電器のゲージで半分以上残っている場合が多いです(夏場)
  冬場でも1/3は残っていますからなかなかいい線いっているのではないでしょうか。

  20cm反射やVISACの主鏡は、セルをビクセンのラバーヒーターで暖めてやると結露をかなり
  防止できています。 ヒーターは電気を食うので、ラバーヒーター使用j時にはもう一つ小さめの
  バイク用バッテリーを同じく保冷バッグに入れて運用します。 このバッグは缶ビール6本入りの
  おまけ品ですがサイズがあつらえたようです。 酒好き星屋ならではのアイテムといったところでしょうか。

  保冷バッグの内側がアルミ地になっている場合は、
  バッテリー端末がショートしないように絶縁をお忘れなく。


  また、
倒れると液漏れして大変です。(中身は希硫酸ですからあらゆるものに穴があきます)
  
クルマに積載する場合には、前席と後部座席の隙間で挟むか、倒れないように工夫してください。
  
  
 
  バッテリーバッグには、他にオートガイダーや赤道儀へ電源を供給したり、
  オートガイド用のビデオカメラの信号線などを1本にまとめた自作ハーネス(ケーブル)、
  撮影後のブローニーフィルムを保管するフィルムケース(100円ショップの防水ケースです)、
  頻繁に使う電池(ヘッドライト等の切れたら直ぐみつからないと困るもの)、
  屈折望遠鏡でデジタル一眼でのピント合わせ時に回折像を作る黒いビニールテープ、
  極軸望遠鏡の歳差パターンの説明書が入っています。

  
   オートガイダーにAGA-1を使う場合には、配線が大変多くなり扱いにくいばかりでなく
  設営、撤収も面倒ですので、このようなワンタッチハーネスを望遠鏡やレイアウトに
  合わせて自作すると大変スムーズで楽になりますのでお勧めです。 作成方法については
  別記事で紹介します。

   また、結露対策のコンパクトドライヤーや、ちょっとした電源が欲しい場合等、バッテリーから
  電源を取り出しやすくするケーブルがあると助かります。
  
  カー用品売り場で、シガライター用の延長コードの安いものがあれば、それを途中で切断し、
  メス側の切断したところに、バッテリー端子にはさむワニ口クリップ(電気街で購入できます)を
  とりつければ、シガライターソケットとして使えます。 また、オス側にはご自身の赤道儀等に合わせた
  電源コネクターをとりつければ、ここから別途取り出すこともできて便利です。
  なお、ビクセンとミザールの電源コネクターは、中央がマイナス、外側がプラスで、一般のものと逆です。
  ご注意ください。(説明書等でご自身でもご確認ください)

   屈折望遠鏡でのピント合わせでは、反射望遠鏡のようにスパイダーの回折像(星に生える十字)
  を使えません。 そこでハーネス用の黒いビニールテープ(べとつかずに、よく伸びます。 ホームセンターや
  電気街で購入できます)を、フードの先端に十字に張ってやれば即席スパイダーの出来上がり。
  姑息な手段ですがなかなか使えます。 またこのテープは配線を痛めてしまった場合の応急処置にも
  使えますので是非いれておいてください。

 運用面ですが、電源を節約することで電池切れの不安から遠くにいることもできます。
 管理人がビクセンのオートガイダーAGA-1を愛用するのは、超簡単で、なかなか高精度な事、
 仕事柄パソコンを見たくないという点以外にも、乾電池でも駆動可能なほど省電力という点も
 大きな要素でした。  GP赤道儀のモータードライブも乾電池で駆動できるほどです。
  オートガイドにノートパソコンを使わないようにするのも選択肢の一つとしてお考えください。

  また、フィールドで使うノートパソコンは少々高性能すぎると感じている方も少なくないようです。
 少し古めの省電力タイプのモバイルノート(バッテリー駆動時間が5時間〜8時間というものもあります)に
 スペアバッテリーを持参することで12Vバッテリーからパソコンの電源を得ずに楽々運用している人も居ます。
 このあたりのノートは中古で捨て値の場合がありますので穴場かもしれません。 オートガイドごときに大した
 スペックは必要ありませんから、確かにこれもまたクレバーな手だと思います。

  どうしても12Vバッテリーからノートパソコンの電源を採りたい場合に、インバータで一度100Vにして、そこからまた
 ACアダプターを用いるとかなりのロスがあるようです。 そこで12Vから直接ノートパソコンの電圧を得る
 昇圧アダプターなども有り難い小道具です。 「クルマdeチャージャー」等、その一例です。


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